【心の問題】企業の復職支援に興味があるのですが

2011年12月26日
「企業の健康管理や復職支援の実際について知りたい」という質問を頂きました。

ブログのテーマと違うのでもし無理なら構わないのですが、企業の健康管理や復職支援の実際について教えていただければ嬉しいなと思います。
もとの職場はブラック企業で健康管理どころではなく、だからこそ関心を持って看護大学で学ぶことにしたのですが、具体的なイメージが掴めていないのが実際のところです。
看護師なり保健師なりになったからと言って職場を変える程の影響力が持てるとは全く思わないし募集も少ないという認識はあるのですが。
企業としてはどんな人材を求めているのか気になるところです。



なかなか痛いところをついてくるご質問です。

私自身は、かつて人事担当者として働いていましたが、その企業はブラックかホワイトかで区切ると、まあブラックでした。「いい会社だ」と言う人もいれば、「こんなブラック会社」と言う人もいました。

その後、何度か転職をしていますが、いわゆるホワイト会社には勤めたことはなく、いい感じでブラックな企業ばかりです。(超絶ブラックではないところがミソ)


という経験を踏まえてのご回答になるのですが、「復職支援」に対して真剣に取り組んでいる企業はごくごくまれです。特に昨今は、体調不良で休んでいる人を無理に復帰させなくても、「必死に働きます!」と言ってくる応募者もたくさんいますしね。


人事的には、復帰させるスキル、ノウハウよりも、辞めさせるスキル、ノウハウのほうが重宝されます。
もちろん、人事部という立場から、社員が復帰するのを全面的にバックアップする企業もありますけどね。


そもそも「人事」は経営目的を達成させるための手段のひとつです。
どこの会社も、その会社が存続することで成し遂げたい目標なんかがあるものですが、その目標達成を人事面からバックアップするのが「人事」なのです。人がいないと、目標達成も何もあったもんじゃありませんし。

ですから、「経営者」か「従業員」か、という視点に立つと、「経営者」寄りなのです。

まあそんなわけですから、「人事」という立場で復職支援をしようとすると、おのずと限界が出てきます。


とは言え、何もしないわけにもいきません。
厚生労働省が「メンタルヘルスに関する指針」を出してたりもしますし。


そんなときに、お金のある企業がやるのが「丸ごと外部に丸投げ」です。
EAPとかメンタルヘルスマネジメント、というキーワードで検索すると、それを専門にして請け負う企業がいくつか出てきます。

彼らは、企業ではできない細かい気配りやサポートをしたり、中立的な立場で社員と会社側の主張や要望を擦り合わせしたりしてくれます。


かなり狭き門だとは思うのですが、企業のメンタルヘルスをご自身のキャリアの中心に据えていかれたいのであれば、こういった企業も視野に入れてもいいかなと思います。


「社員のために!」「社員の健康管理を!」という気持ちが非常に強い方が人事部に入ったりすると、その気持ちと逆行する業務が大半で、げっそりしてしまうかもしれません。





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【面接官の心得】採用しますフェロモンの出しすぎはよくない事

2011年12月20日

先日の記事に頂いたコメントを読んでいてしみじみ思ったので記事にしてみました。


ずいぶん昔に書いた記事で、「本当に素敵な面接官というのは、相手を面接しつつも、かつコレだ、と思ったときに確実に相手を魅了することのできる人だ。」と書いていますが、全くその通りだと思います。

面接の業務を担当するようになった頃、どういう態度で応募者の方の話を聞けばよいのか、ひどく悩みました。

何せ若造だったので、あまり偉そうな態度も良くない。
かといって、迎合しすぎるのも良くない。

「前職ではこのような仕事をしていました。」
「そうですか。わかりました。」


というのは素っ気なさ過ぎるし、

「前職ではこのような仕事をしていました。」
「ほほー、なるほど。それは素晴らしいですねえー。」


というのは大げさすぎるわけです。


色々と悩んで試行錯誤した結果が、

クール&ドライ、ただしとても丁寧に

というのが私の面接のスタイルとして定着しました。


「前職ではこのような仕事をしていました。」
「そうですか、それは素晴らしいですね(ニコ」
「(間髪入れずに)では次のご質問です(ニコ」


という感じです。

大げさパターンとほぼ一緒じゃん、と思われるかもしれませんが、終始ニコニコしながらも淡々と質問と会話を続けて行くと、応募者の方も「ああ、この笑顔は自分の言っていることに本当に感服しているわけではなくて、業務用スマイルなんだな。」ということがすぐにわかるわけです。


募集している人材像にマッチしそうな人には、できる限りその気になってほしいですし、そうでもない方には、ああちょっとダメだったかなあ、と納得して頂けるような内容の面接が一番よいです。

かといって、「ああ、これはもう決まりだな。」と確信までさせては誤解になる可能性がありますし、「なんなんだあの会社、失礼な面接だ。」と思わせては評判が落ちて、後々の応募者減につながってしまう可能性があるのです。



そんなわけで、喉から手がでるほど欲しいスキルの方が面接に現れても、常にこのクール&ドライで丁寧な姿勢を貫いていました。まあ、若かったし人間の幅もあまり広くないので、そういう風にしかできなかったんですけどね。


面接官の一挙手一投足で、確信したり、誤解を招いたりするのが面接です。
あなたを採用しますよフェロモンを出しすぎて、応募者の方を誤解させてしまうよりは、ちょっとクールなくらいの態度がちょうどいいんじゃないかと思っています。


熱烈に説得するのは、採用が決まって内定を出す際に、採用部署の方にやってもらえばいいのです。





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【面接官の心得】周囲への感謝がない人は採用しないほうがいいと思う事

2011年12月16日

久々の面接官の心得シリーズです。

絶対に採用しないほうがいいのはどんな人ですか
と聞かれたら、こう答えます。

周囲への感謝が微塵も感じられないタイプの人です。


新卒さんの場合には、ちょっと当てはまらないかなとも思いますが。
20代前半で、両親や友人への感謝の言葉を口にする人もいるにはいますが、大抵はまだ実感できていなかったり、言葉にするのが恥ずかしかったりしますしね。

しかし、30歳を超えた人のキャリア面接なんかで、今まで自分が働いて来た会社や環境、同僚や上司への感謝の念がまったくもって感じられない人の場合は、難ありです。


もちろん、仕事の場ですから、周囲がどうというよりは自分がどれだけ頑張れるか、どれだけ努力したかということが、直接的には結果につながります。

とは言え、ある程度普通に、真面目に仕事をしていれば、周囲の人から助けられたり助けたりすることはあるものです。別にそんなに劇的に助けられなくてもね。多少はあるものです。



たいていの会社はチームワークが基本であるという前提に立って考えてみると、周囲への感謝が全く感じられない言動であったり、前職に対して悪口雑言しか口にしないような人の場合、転職してきても、同じような状況を繰り返す可能性があります。


なぜなら、その人自身が不満を抱いていた以前の環境は、その人自身が作り出していたものだからです。


敵をつくりやすい人と、味方をつくりやすい人、どちらが成果をあげやすいかと言えば、もちろん後者です。
「敵をつくりやすい人」の代表格が、周囲に感謝できない人だと思うのです。


まあ要するに、面接の場で、前職をこきおろすような人を採用するのはやめとけ、って話です。




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【新卒】手書きエントリーシートはところどころ大文字がよい

2011年12月05日
今日も引き続きエントリーシートの話題。

私自身は、何度か書いてますように「履歴書が手書き必須なんて、何時代の話?」というスタンスですが、学生の就職活動のエントリーシートについては、いまだに「手書きで記入の上、郵送」という提出方法の企業が多いようです。

ハハッと鼻で笑いつつ、先日人事時代の同僚と飲んだときにその話をしたのですが、彼に「今日日の学生は、PCくらい使えるでしょ、いまだに手書き郵送なんて手間がかかるだけじゃん。提出するほうもそうだけど、受け取った企業側もそれをまたわざわざデータ化するなんて、あほらしいよ。」と吹っかけてみたところ、こんな返答が返ってきました。


学生がPCを使えるとは言っても、それは「インターネットができる」程度のものがほとんどで、ビジネス文書が作成できるわけではない。じゃあ、ExcelやWordを勉強してもらえばいいのかもしれないが、そうなってくると、今度はその使い方を習得しようと必死になる学生たちも出てくる。企業側は、新卒採用では、あくまでスキルではなく人柄や行動の特性等で判断しようとしているのだから、それは方向性がずれている。では、中間をとって、インターネットができる程度のスキルがあれば問題ないように、Web上で入力するタイプのエントリーシートにすればいい、となるかもしれない。確かに、応募者数が多い企業はそうやって振るいにかけている。しかし、その方法では学生が個性を出せない。せいぜい100人程度の応募がある企業では、結局のところ、PCスキルに関係なく、誰でもできる方法で、かつ時間をかけてじっくりと書いた内容であればそれが伝わるような、手書きエントリーシートにするところが多い。


と一気に語られてしまいました。
ほんとにこんな感じで一気にまくしたてられました。
な、なるほど。有無を言わさず納得させられてしまいました。


でも、手書きだと読みづらいよね、という話をしたところ、彼は「そうでもない。」といっていました。


強調したいポイントを大文字で書いてあるエントリーシートなんかは、内容も整理されているし、結構読みやすいよ、とのことでした。



確かに、ところどころを大文字にする、という方法はこのブログでも採用していますが、強調したいポイントを示す場合に非常に有効です。


つまりこういうことです。

私は学生時代はアルバイトを必死にやっていました。アルバイト経験で学んだことはひたむきな努力と誠実さに勝るものはないということです。接客業でしたので、時には失敗してお客様に叱られることもあります。そんなときでも、こちらが一生懸命やっていることが伝わりさえすればそれほど話がこじれることはないのです。


と書いてある文章と、

私は学生時代はアルバイトを必死にやっていました。アルバイト経験で学んだことはひたむきな努力誠実さに勝るものはないということです。接客業でしたので、時には失敗してお客様に叱られることもあります。

そんなときでも、こちらが一生懸命やっていることが伝わりさえすればそれほど話がこじれることはないのです。



と書いてある文章とでは、どちらが伝わりやすいか、ということです。

これが手書きの場合には、その威力はかなり違うでしょうね。



しかしまあ、手書きでこれと同じことをやろうとすると、ぶっつけ本番で記入するのではなく、事前に下書きをした上で、どこを強調するかを決め、その上で清書する、ということになります。


手書きで、しかも見た目にもわかりやすいエントリーシートが評価される、ということはつまり、応募者側の意欲と準備の度合いがはかられている、ということなんだなあ、と実感しました。


あ、ここで言っているのは、あくまで文字を大きくして強調したり、下線を引いたりする、という手法のことであって、文字の隣に花とか動物とかのイラストを書くのは、個人的には勘弁してください、と思います。

ティーンの文通じゃないですからね。






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